イラクの邦人3名

特に18歳の今井紀明さんが、普段使っているニュースサイトの市民記者をやっていたりして、色々なところから彼らを救うための運動が起こっている。だが、政府に撤退要求をしろというのは、非常に難しい。朝日新聞の社説ですら、撤退について明言せず「何はともあれ、政府は救出に全力をあげるしかない」とか「首相は厳しい現実を直視しなくてはならない」と言ってる始末であり、打開策が打ち出せない状況であることが伺われる。読売と産経はまだ読み比べてないなあ。何の迷いもなく自衛隊派遣を支持した人たちは、これをどう考えるのだろうか。
アルジャジーラから提供された映像は、アルジャジーラ側ですでに編集されたものであり、そこでカットされた映像には放送できないほどかわいそうなシーンもあったようだ。彼らが脅されてパニックに陥っているという記事もどこかで読んだし、それがテレビの映像に映っていないことに昨晩違和感を覚えたのだが、この食い違いにはそういう事情があったのだ。
報道ステーションでは、明らかに撤退を促す方向で古舘一郎と藤原帰一が興奮状態で話していて、特に藤原さんは怒りに打ち震えていた。まったく遠慮のない論調になっていたが、それにしても古舘一郎の見解やナビゲートは素人くさくて危なっかしいったらありゃしない。近いうちに絶対大きなへまをやらかすはずだ。
アメリカ外交の批判、それに追随する小泉政権への批判。テロリストに屈してはならないという姿勢が、逆にテロを増徴させるというジレンマ。また、テロに屈しても、テロは政治的手段としてまかりとおることになる。この泥沼の源は、やはりアメリカが作り上げたものだというのは間違いがない。現実主義外交といえば聞こえはいいが、その仮面を剥げば単なる現状追認型の保守的な政治力学があるだけだろう。
あと、自衛隊の海外派兵に関する議論の際に、昔から言われてきた重要な論点の一つに「海外に在留する邦人の救出活動」というのがあったはずだが、今じゃ彼らは堅固な砦から一歩もでずに、「自らを衛る隊」になってしまっている。皮肉としか言いようがない。