ドリーマーズ

ベルトリッチの最新作「ドリーマーズ」を見てきました。なんか、エッチそうだなあとか、でもきれいそうだなあとか思いながらふらっと映画館に入りましたが、その通りでした。エヴァ・グリーンって女優は非常にいいです。あどけない少女から、天真爛漫な大人な悪女まで表情がころころ変わる。演技で出してるというより、もともと持っている表情の幅の広さですね。生まれながらの女優って感じ。人の心を動かす方法を才能として身につけてる。脱ぎまくってますけど、ありえないくらい体もきれいですね。男女問わず、彼女を見るためにこの映画を見てもいいくらい。あと、弟役もいいよ。彼も魅力的。アメリカ人のうじうじした主人公は、だめなディカプリオ路線で売ってるけど、キャラ的に二人には負けてる。というかぬめぬめしてて嫌いだ。
映画のいろいろなシーンを真似してみせて、クイズにする遊びを映画フリークの主人公たちが散々やるわけですが、あれもかわいくていいな。で、当てられないととんでもないお仕置きが待ってるわけです。思わずにやけてしまう。
で、脚本の方はですな、、、コンパクトにまとまってるけど、結局60年代を懐かしんで終わってるような。監督も年くったな、、、というか。あの時代に自分の政治的意見の持ち方に多くの人が頭を痛めたことと思いますが、それに向き合うにはあの主人公達は設定上あまりに精神的に幼すぎるし、特に弟は馬鹿すぎる。というか、社会運動への距離感も映画への愛情も、この脚本の中では最終的にはどうでもいいものとして扱われているような気がして仕方ないです。裕福で美しくて幼い彼らには社会運動は似合わない。
だから、社会運動は「部屋の外」としてこの映画では位置づけられていて、部屋の中では退廃的に楽しみまくっている。それでいざ外を見ようと思っても、仲良しの双子は自立した個人として恋愛もできなければ、デモも興味ない。で、最後にとてつもなく大規模な革命的デモを目の当たりにして、頭に血が上った弟は「ああ、これぞ俺の求めていたものだ!」と思って、自立できない姉を連れて警察に突っ込んでいってしまう。あほか!って。
でも、僕もいざどでかいデモとかに遭遇したら、多分どうしようか悩むでしょうね。「ま、みんながやってくれてるから俺はいいや。」みたいなわけにはいかんし。
ベルトリッチは、「それよりも部屋でいちゃいちゃしてろ!」と言いたい訳でもなく、「デモに参加しなさい。」と言いたい訳でもなく、「いちゃいちゃしたいし、デモにも参加しなきゃいけないような気もしたし、大変な時代でした。」と自分の青春を振り返ってるだけなんだろうか。結局よくわからん映画でした。(笑)